diff --git a/docs/culture/accountability.md b/docs/culture/accountability.md index 5bbfed3..f55b185 100644 --- a/docs/culture/accountability.md +++ b/docs/culture/accountability.md @@ -8,11 +8,11 @@ description: 成功するポストモーテムプロセスは、誠実さ、学 まず、ポストモーテムのアクションアイテムがいつ完了すべきかのポリシーを設定します。PagerDutyでは、Sev-1インシデントの再発を防ぐのに必要な高優先度のアクションアイテムは、インシデント後15日以内に完了する必要があります。Sev-2インシデントからのアクションアイテムは30日以内に対処する必要があります。この期待値をエンジニアリング組織全体に伝え、将来的にも参照できるよう文書化してください。 -アクションアイテムが実行されるためには、明確なオーナーが必要です。私たちはアジャイルとDevOpsの組織であるため、影響を受けたサービスを担当する職能横断チームも、障害の可能性を減らすと見込まれる改善の実装を担当します。エンジニアリングのリーダー陣は、各チームがシステムのどの部分を所有しているかを明確にし、新規開発と運用改善を担当するチームに対する期待値を設定します。オーナーシップの指定は組織全体に伝えられ、誰が何を所有しているのかをすべてのチームが理解し、オーナーシップの認識にギャップがあれば特定できるようにします。**例によって、新たにチームに加わるメンバーのために、将来的にも参照できるようこの情報を文書化してください。**インシデントのアクションアイテムのオーナーシップに不確実なところがあれば、ポストモーテムミーティングにおいて、アクションアイテムを所有する可能性のあるすべてのチームの代表者との間で議論します。 +アクションアイテムが実行されるためには、明確なオーナーが必要です。私たちはアジャイルとDevOpsの組織であるため、影響を受けたサービスを担当する横断チームも、障害の可能性を減らすと見込まれる改善の実装を担当します。エンジニアリングのリーダー陣は、各チームがシステムのどの部分を所有しているかを明確にし、新規開発と運用改善を担当するチームに対する期待値を設定します。オーナーシップの指定は組織全体に伝えられ、誰が何を所有しているのかをすべてのチームが理解し、オーナーシップの認識にギャップがあれば特定できるようにします。**例によって、新たにチームに加わるメンバーのために、将来的にも参照できるようこの情報を文書化してください。**インシデントのアクションアイテムのオーナーシップに不確実なところがあれば、ポストモーテムミーティングにおいて、アクションアイテムを所有する可能性のあるすべてのチームの代表者との間で議論します。 また、チームの作業の優先順位付けを担当するリーダー(プロダクトマネージャーとエンジニアリングマネージャー)をポストモーテムミーティングに参加させることで、アクションアイテムの完了に対する説明責任が向上します。プロダクトマネージャーには、よい顧客体験を定義する責任があります。インシデントは顧客体験を悪化させます。ポストモーテムの議論にプロダクトマネージャーに参加してもらい、顧客体験に対する脅威とその体験を改善する方法についてより広い視点を提供してもらいます。これによって、エンジニアリングはこれらのアクションアイテムの重要性を説明し、プロダクトマネージャーがそれに応じて作業の優先順位を付けることができます。同様に、より多くのエンジニアリングのリーダー陣をポストモーテムの議論に参加させることで、技術リソースをどこへどのように投資すべきかの判断につながるような、システムの弱点に関する理解を深めることができます。この文脈を作業の優先順位付けを行うリーダーと共有することで、インシデント分析から発生した高優先度のアクションアイテムを迅速に完了できるよう、チームの取り組みを支援できます。 -最後に、ポストモーテムのアクションアイテムを見つけやすく、定期的に確認できるようにしておきます。ポストモーテムのアクションアイテムを他のタスクと同様に文書化しましょう。インシデント分析から発生したアクションアイテムのリストは、ポストモーテムの文書にのみ記載しておくだけでは足りません。タスク管理ツールでチケットをオープンし、アクションアイテムを所有するチームのプロジェクト内に配置して、他にも計画されたすべての作業と一緒に表示できるようにします。すべてのチケットに重大度レベル(Sev-1、Sev-2など)と日付タグ(YYYYMMDD)を付けて、特定のインシデントからのチケットを簡単に照会し、重大なインシデント起点でオープンしているチケットの数のレポートを作成できるようにします。 +最後に、ポストモーテムのアクションアイテムを見つけやすく、定期的に確認できるようにしておきます。ポストモーテムのアクションアイテムを他のタスクと同様に文書化しましょう。インシデント分析から発生したアクションアイテムのリストは、ポストモーテムの文書にのみ記載しておくだけでは十分ではありません。タスク管理ツールでチケットをオープンし、アクションアイテムを所有するチームのプロジェクト内に配置して、他にも計画されたすべての作業と一緒に表示できるようにします。すべてのチケットに重大度レベル(Sev-1、Sev-2など)と日付タグ(YYYYMMDD)を付けて、特定のインシデントからのチケットを容易に照会し、重大なインシデント起点でオープンしているチケットの数のレポートを作成できるようにします。 !!! info "重要なポイント" - ポストモーテムのアクションアイテムのポリシーを設定すること:例えば、Sev-1アクションアイテムは15日以内、Sev-2アクションアイテムは30日以内。 diff --git a/docs/culture/blameless.md b/docs/culture/blameless.md index 12f14e8..783ed08 100644 --- a/docs/culture/blameless.md +++ b/docs/culture/blameless.md @@ -8,24 +8,24 @@ description: 成功するポストモーテムプロセスは、誠実さ、学 ヒューマンエラーに関する古い見方に従う組織では、不注意によってインシデントを引き起こした個人が叱責されることがあります。**このように非難を行い罰することへの衝動は、将来の障害を防ぐ上で必要な知識共有を妨げるという予期せぬ影響をもたらします。** エンジニアは非難されることを恐れて、インシデントが発生した際に発言することをためらうでしょう。この沈黙はインシデントの平均確認時間(MTTA)、平均解決時間(MTTR)を増加させ、インシデントの影響を悪化させます。 -ポストモーテムプロセスを学習とシステム改善につなげるためには、ヒューマンエラーに関する新しい見方に従う必要があります。ソフトウェア開発の複雑なシステムでは、様々な条件が相互作用して障害を引き起こします。**ポストモーテムの目的は、インシデントの発生につながったシステム的要因を理解し、この種の障害が再発するのを防ぐためのアクションを特定することです。** ブレームレス(非難のない)なポストモーテムは、「誰が」ミスを犯したかではなく、「どのように」ミスが発生したかに焦点を当てます。これは、多くの先進的な組織(例えば[ブレームレスなポストモーテム](https://codeascraft.com/2012/05/22/blameless-postmortems/)のパイオニアであるEtsy)が活用している重要なマインドセットであり、罰に対する恐怖を排除することにより、実際に何が起こったかをエンジニアが真の意味で客観的な説明をできるようにし、ポストモーテムが適切なトーンで行われることを保証します。 +ポストモーテムプロセスを学習とシステム改善につなげるためには、ヒューマンエラーに関する新しい見方に従う必要があります。ソフトウェア開発における複雑なシステムでは、様々な条件が相互作用して障害を引き起こします。**ポストモーテムの目的は、インシデントの発生につながったシステム的要因を理解し、この種の障害が再発するのを防ぐためのアクションを特定することです。** ブレームレス(非難のない)なポストモーテムは、「誰が」ミスを犯したかではなく、「どのように」ミスが発生したかに焦点を当てます。これは、多くの先進的な組織(例えば[ブレームレスなポストモーテム](https://codeascraft.com/2012/05/22/blameless-postmortems/)のパイオニアであるEtsy)が活用している重要なマインドセットであり、罰に対する恐怖を排除することにより、実際に何が起こったかをエンジニアが真の意味で客観的な説明をできるようにし、ポストモーテムが適切なトーンで行われることを保証します。 ## なぜブレーム(非難)を意識することが難しいのか -継続的改善の文化を望むことは簡単ですが、学習に求められる非難のない状態の実践は難しいです。障害の予期せぬ性質は、自ずと人間が理解する妨げとなるような反応をすることにつながります。情報を処理する際に、人間の心は無意識のうちにショートカットを取ります。一般的な経験則を適用することで、心は正確さよりもタイムリーさを最適化します。これが誤った結論を生み出す場合、それは認知バイアスと呼ばれます。 +継続的改善の文化を望むことは簡単ですが、学習に求められる非難のない状態の実践は難しいです。予期せぬことが発生する障害の性質は、自ずと人間が理解する妨げとなるような反応を招きます。情報を処理する際に、人間の心は無意識のうちにショートカットを取ります。一般的な経験則を適用することで、心は正確さよりもタイムリーさに最適化されるのです。これが誤った結論を生み出す場合、それは認知バイアスと呼ばれます。 [J. Paul Reed](https://techbeacon.com/blameless-postmortems-dont-work-heres-what-does)は、非難する傾向が何百万年もの進化的神経生物学によって配線されているため、ブレームレスなポストモーテムは神話だと主張しています。この傾向を無視したり、完全に排除しようとしたりすることは不可能です。「ブレームアウェア(非難を意識する)」であることの方が生産的です。**私たちのバイアスを意識することで、それらが発生した時に識別し、乗り越える取り組みを行えるでしょう。** 以下ではいくつかのバイアスについて触れますが、詳細については、ポストモーテムを実施する際に意識すべき認知バイアスについての[Lindsay Holmwood](http://fractio.nl/2015/10/30/blame-language-sharing/)の記事をお読みください。 -**[基本的帰属エラー(fundamental attribution error)](https://en.wikipedia.org/wiki/Fundamental_attribution_error)**は、人々の行動が、彼らの状況ではなく性格を反映したものであると信じる傾向です。これはヒューマンエラーの古い見方を表し、障害を不注意で無能な悪い人物のせいにします。皮肉なことに、私たちは自分自身の行動を説明する際には、自分の性格ではなく状況によって説明する傾向があります。この非難する傾向と戦うには、個人が取った具体的な行動ではなく、状況的な原因へ意図的に分析の焦点を当てることです。 +**[基本的帰属エラー(fundamental attribution error)](https://en.wikipedia.org/wiki/Fundamental_attribution_error)**は、人々の行動が、彼らの状況ではなく性格を反映したものであると信じる傾向です。これはヒューマンエラーの古い見方を表し、障害を不注意で無能な悪い人物のせいにします。皮肉なことに、私たちは自分自身の行動を説明する際には、自分の性格ではなく状況によって説明する傾向があります。このように他者を非難する傾向と戦うには、個人が取った具体的な行動ではなく、状況的な原因へ意図的に分析の焦点を当てることです。 もう一つの広く見られる認知バイアスは**確証バイアス(confirmation bias)**で、これは既存の信念を強化する情報を好む傾向です。曖昧な情報に直面すると、私たちはそれを既存の仮定を支持する方法で解釈する傾向があります。ヒューマンエラーの古い見方と組み合わさると、このバイアスはポストモーテムにとって危険です。なぜなら、それは腐ったリンゴを非難しようとする流れにつながるからです。個人に責任があるという仮定でアプローチすると、反対の証拠があるにもかかわらず、その信念を支持する方法を探してしまうでしょう。 -確証バイアスと戦うために、調査の過程で逆の立場をとる代弁者を任命することをHolmwoodは提案しています。ただし、逆の立場をとる代弁者によって否定性や対立性をが持たされることには注意してください。また、他のチームから誰かを招いて、彼らの心に浮かぶあらゆる質問をしてもらうことで、確証バイアスに対抗することもできます。これにより、チームが当然と考えるようになった調査の方向性が明らかになります。 +確証バイアスと戦うために、調査の過程で逆の立場をとる代弁者を任命することをHolmwoodは提案しています。ただし、逆の立場をとる代弁者によって否定性や対立性がもたされることには注意してください。また、他のチームから誰かを招いて、彼らの心に浮かぶあらゆる質問をしてもらうことで、確証バイアスに対抗することもできます。これにより、チームが当然と考えるようになっていた調査の方向性が明らかになります。 -**後知恵バイアス(hindsight bias)**は、判断を形作るために事象を思い出す際の記憶の歪みの一種です。結果を知っていると、当時はそれを予測する客観的な根拠がほとんどまたは全くなかったにもかかわらず、その事象が容易に予測可能だったと見なしてしまいがちです。しばしば、私たちは自分自身をよりよく見せるようなやりかたで出来事を思い出します。例えば、インシデントの原因を分析している人が、それが起こるとを予期していたと信じる場合が挙げられます。このバイアスを体現すると、チーム内の防御と分裂を招きかねません。Holmwoodは、後知恵バイアスを避けるために、事象を予見の観点から説明することを提案しています。すなわちタイムライン分析をインシデント発生前の時点から始め、解決から逆算するのではなく、前に進むようにするのです。 +**後知恵バイアス(hindsight bias)**は、判断を形作るために事象を思い出す際の記憶の歪みの一種です。結果を知っていると、当時はそれを予測する客観的な根拠がほとんどまたは全くなかったにもかかわらず、その事象が容易に予測可能だったと見なしてしまいがちです。私たちはしばしば、自分自身をよりよく見せるようなやりかたで出来事を思い出します。例えば、インシデントの原因を分析している人が、それが起こるとを予期していたと信じる場合が挙げられます。このバイアスを体現すると、チーム内の防御と分裂を招きかねません。Holmwoodは、後知恵バイアスを避けるために、事象を予見の観点から説明することを提案しています。すなわちタイムライン分析をインシデント発生前の時点から始め、解決から逆算するのではなく、前に進むようにするのです。 -注意すべきもう一つの一般的なバイアスは**[否定性バイアス(negativity bias)](https://en.wikipedia.org/wiki/Negativity_bias)**です。これは、否定的な性質のもののほうが、中立的または肯定的な性質のものよりも、人の精神状態に大きな影響を与えるという概念です。社会的判断に関する研究では、他者に対する印象に、否定的な情報がとてつもなく大きな影響を与えることが示されています。これは「腐ったリンゴ理論」、つまり組織内に障害の責任を負うべき好ましくない人物がいるという信念に関連しています。研究はまた、人々が否定的な結果を他の人の意図によるものだとする可能性が、中立的および肯定的な結果よりも高いことを示しています。これもまた、重大なインシデントを説明するために個人の性格を非難する傾向を説明しています。 +注意すべきもう一つの一般的なバイアスは**[否定性バイアス(negativity bias)](https://en.wikipedia.org/wiki/Negativity_bias)**です。これは、否定的な性質のもののほうが、中立的または肯定的な性質のものよりも、人の精神状態に大きな影響を与えるという概念です。社会的判断に関する研究では、他者に対する印象において、否定的な情報がとてつもなく大きな影響を与えることが示されています。これは「腐ったリンゴ理論」、つまり組織内に障害の責任を負うべき好ましくない人物がいるという信念に関連しています。研究はまた、人々が否定的な結果を他の人の意図によるものだとする可能性が、中立的および肯定的な結果よりも高いことを示しています。これもまた、重大なインシデントを説明するために個人の性格を非難する傾向を説明しています。 -実際には、物事がうまくいくことの方が、うまくいかないことよりも多いのですが、私たちは否定的な出来事に焦点を当て、その重要性を協調する傾向があります。インシデントを否定的な出来事として焦点を当て、誇張し、内面化することは、士気を低下させ、燃え尽き症候群を招く可能性があります。インシデントを学習の機会として再構築し、対応でうまく処理されたことを説明することを忘れないようにすることで、視点のバランスを取っていきましょう。 +実際には、物事がうまくいくことの方が、うまくいかないことよりも多いのですが、私たちは否定的な出来事に焦点を当て、その重要性を強調する傾向があります。インシデントを否定的な出来事として焦点を当て、誇張し、内面化することは、士気を低下させ、燃え尽き症候群を招く可能性があります。インシデントを学習の機会として再構築し、対応でうまく対処された事柄を説明することを忘れないようにすることで、視点のバランスを取っていきましょう。 ### 認知バイアス @@ -45,11 +45,11 @@ description: 成功するポストモーテムプロセスは、誠実さ、学 [Crucial Accountability](https://www.vitalsmarts.com/crucial-accountability-training/)では、期待と現実の不一致に関する難しい会話にアプローチするのに役立つフレームワークが提供されており、感情が高まるようなポストモーテムにも適用できます。障害を分析する際、私たちは感情を駆り立て、最悪の行動を正当化しようとする被害者、悪役、無力な物語に陥る可能性があります。物語の残りの部分を語ることで、非難を乗り越えることができます。問題における、あなた自身と他者の役割を考慮してください。合理的で理性的で良識のある人が、インシデントの原因となったように見える行動を取った理由を自問してください。この思考は、インシデントにつながった複数のシステム的要因に注意を向けるのに役立ちます。 -最善の努力をしてブレームレスであろうとしても、ポストモーテムミーティング中に誰かが非難されていると感じて防御的になる可能性があります。これが起こった場合、生産的な議論を続けるために互いの目的意識と尊重を回復するよう努めてください。ポストモーテムの目的はインシデントにつながったシステム的要因を理解し、将来の障害を減らすためのアクションを共同で特定することだと再確認することで、相互の目的意識を回復します。しばしば、人々は自分の性格が攻撃されていると感じると防御的に行動します。対比することで相互の尊重を回復します。あなたが意図しなかったこと(「あなたが仕事が下手だと言うつもりはありませんでした」)と、あなたが意図したこと(「任意の対応者がその行動を取るような状況的要因を尋ねるつもりでした」)を対比させてください。非難を暗示する個人の動機から調査の焦点を外してください。特定されていない対応者に抽象化することで、システム障害に寄与した可能性のあることについて、他の対応者がより多くの提案を行いやすくなります。 +最善の努力をしてブレームレスであろうとしても、ポストモーテムミーティング中に誰かが非難されていると感じると、人は防御的になる可能性があります。これが起こった場合、生産的な議論を続けるために互いの目的意識と尊重を回復するよう努めてください。ポストモーテムの目的はインシデントにつながったシステム的要因を理解し、将来の障害を減らすためのアクションを共同で特定することだと再確認することで、相互の目的意識を回復します。しばしば、人々は自分の性格が攻撃されていると感じると防御的に行動します。対比することで相互の尊重を回復します。あなたが意図しなかったこと(「あなたが仕事が下手だと言うつもりはありませんでした」)と、あなたが意図したこと(「任意の対応者がその行動を取るような状況的要因を尋ねるつもりでした」)を対比させてください。非難を暗示する個人の動機からは、調査の焦点を逸らしてください。特定されていない対応者に抽象化することで、システム障害に寄与した可能性のあることについて、他の対応者がより多くの提案を行いやすくなります。 !!! info "重要なポイント" - 「誰が」「なぜ」ではなく、「何を」「どのように」という質問をする。 - 複数の多様な視点を考慮する。 - 合理的で理性的で良識のある人が特定の行動を取った理由を自問する。 - 人間の行動について尋ねる際、特定されていない対応者に抽象化する。誰でも同じミスを犯す可能性がある。 - - あなたが意図しなかったことと意図したことを対比させることで、相互の目的と相互の尊重を回復する。 + - あなたが意図しなかったことと意図したことを対比させることで、相互の目的と尊重を回復する。 diff --git a/docs/culture/introduce.md b/docs/culture/introduce.md index 7f23d6b..1a1d0e3 100644 --- a/docs/culture/introduce.md +++ b/docs/culture/introduce.md @@ -4,17 +4,17 @@ description: 成功するポストモーテムプロセスは、誠実さ、学 --- ![How to Introduce](../assets/img/headers/Postmortems-Introduce.png) -ポストモーテムを組織に全く新しい実践として導入する場合でも、既存のプロセスを改善する場合でも、文化の変革は難しいものです。あなたの役割に関わらず、新しいプロセスを導入する最初のステップは、リーダーシップと個々の貢献者から賛同を得ることです。なぜなら、多くの場合、ボトムアップの変化は経営陣からのトップダウンの指示よりも成功する可能性が高いからです。 +ポストモーテムを組織に全く新しい実践として導入する場合でも、既存のプロセスを改善する場合でも、カルチャーの変革は難しいものです。あなたの役割に関わらず、新しいプロセスを導入する最初のステップは、リーダーシップと個々の貢献者から賛同を得ることです。なぜなら、多くの場合、ボトムアップの変化は経営陣からのトップダウンの指示よりも成功する可能性が高いからです。 非難のない(ブレームレスな)ポストモーテムを実践し、継続的改善の文化を促進するためには、インシデント後に個人が何らかの形で叱責されることはないというリーダーシップからのコミットメントが必要です。 経営陣の納得を得ながら非難のない分析への転換を進めるためには、非難がビジネスにどのように有害であるかを明確にし、非難がない状態のビジネス価値を説明しましょう。例えば、インシデントを「引き起こした」個人を罰すると、人は非難されることを恐れて問題が発生したときに発言を躊躇します。この沈黙はインシデントの平均確認時間(MTTA)、平均解決時間(MTTR)を増加させ、最終的にはインシデントの影響を悪化させます。組織は、非難に対する恐怖を排除し、協力的な学習を奨励することで、システムの回復力を迅速に向上させ、イノベーションのスピードを上げることができます。 -奇妙に聞こえるかもしれませんが、経営陣に非難のないポストモーテムプロセスを売り込む際には、過去に他者を非難したことで経営陣を非難することは避けてください。ブレームレスを実践することは誰にとっても難しいことを認識しましょう。チームは、インシデント後に非難が観察された場合、お互いに責任を持ち、指摘することができます。リーダー陣がインシデント後に誤って非難めいた発言をした場合、そのフィードバックを受け入れる意思があるかどうかを尋ねてください。 +奇妙に聞こえるかもしれませんが、経営陣に非難のないポストモーテムプロセスを売り込む際には、過去に他者を非難したことで経営陣を非難することは避けてください。ブレームレスを実践することは誰にとっても難しいことを認識しましょう。チームは、インシデント後に非難が見られた場合、お互いに責任を持ち、指摘することができます。リーダー陣がインシデント後に誤って非難めいた発言をした場合、そのフィードバックを受け入れる意思があるかどうかを尋ねてください。 -インシデントを引き起こしたことで人々を罰しないという経営陣からの口頭でのコミットメントは、非難のないポストモーテムを導入する重要な第一歩ですが、それだけでは非難の恐怖を排除するには不十分です。リーダーシップの支持を得たら、ポストモーテム分析を実行する個々の貢献者からも賛同を得る必要があります。インシデント後に誰も罰せられないという経営陣からのコミットメントを共有してください。そして、非難が信頼と協力に有害である理由をチームに説明しましょう。非難をより意識し、非難が観察されたときにお互いに優しく指摘することに協力することに同意してください。 +インシデントを引き起こしたことで人々を罰しないという経営陣からの口頭でのコミットメントは、非難のないポストモーテムを導入する重要な第一歩ですが、それだけでは非難への恐怖を排除するには不十分です。リーダーシップの支持を得たら、ポストモーテム分析を実行する個々の貢献者からも賛同を得る必要があります。インシデント後に誰も罰せられないという経営陣からのコミットメントを共有してください。そして、非難が信頼と協力に有害である理由をチームに説明しましょう。非難をより意識し、非難が観察されたときにお互いに優しく指摘することに協力することに同意してください。 -Googleが、チームに対する研究を行いグループを成功させる行動を学んだとき、チームがうまく協力するための最も重要な要素は心理的安全性であることがわかりました。ハーバード・ビジネス・スクールの教授エイミー・エドモンドソンは、心理的安全性を「チームが発言することで誰かを恥じさせたり、拒絶したり、罰したりしないという自信」と定義しています。安全の感覚は、インシデントに関する情報を共有するのに十分な快適さを人々に与え、それによってより深い分析が可能になり、システムの回復力を向上させる学びにつながります。 +Googleが、チームに対する研究を行いグループを成功させる行動を学んだとき、チームがうまく協力するための最も重要な要素は心理的安全性であることがわかりました。ハーバード・ビジネス・スクールの教授Amy Edmondsonは、心理的安全性を「誰かが発言したときにチームが恥入らせたり、拒絶したり、罰したりしないという自信」と定義しています。安全の感覚は、インシデントに関する情報を共有するのに十分な心の余裕を人々に与え、それによってより深い分析が可能になり、システムの回復力を向上させる学びにつながります。 Googleは、心理的安全性の高いハイパフォーマンスチームに共通する2つの重要な行動があることを発見しました。まず、これらのチームでは参加者みんなに会話の順序が回ってきます。チームメンバーはほぼ同じ割合で話します。全員が自分の視点を共有できるとき、グループの集合知が増加します。第二に、よいチームは高い社会的感受性または共感を持っています。成功したチームは、非言語的な手がかりに基づいて誰かが動揺したり取り残されたりしていることを感じとることができます。 diff --git a/docs/culture/sharing.md b/docs/culture/sharing.md index 88434ab..f733f82 100644 --- a/docs/culture/sharing.md +++ b/docs/culture/sharing.md @@ -4,7 +4,7 @@ description: 成功するポストモーテムプロセスは、誠実さ、学 --- ![Information Sharing](../assets/img/headers/Postmortems-InfoSharing.png) -私たちは、共有を通じて文化を広げることができます。1人々は自分の成功を共有したいと思い、何かがうまくいっているのを見ると、その成功を再現したいと思います。インシデントレポートを共有することは、失敗の話を共有しているように見えるため、直感に反するかもしれません。けれども実際は、非難のない(ブレームレスな)ポストモーテムの実践こそが成功につながります。なぜなら、チームは失敗から学び、失敗の発生を減らすためにシステムを改善することができるからです。インシデントを個人的な失敗ではなく、具体的な改善をもたらす学習の機会として位置づけることで、モラルも向上し、従業員の定着率と生産性を高めます。 +私たちは、共有を通じて文化を広げることができます。1人々は自分の成功を共有したいと思い、何かがうまくいっているのを見ると、その成功を再現したいと思います。インシデントレポートを共有することは、失敗の話を共有しているように見えるため、直感に反するかもしれません。けれども実際は、非難のない(ブレームレスな)ポストモーテムの実践こそが成功につながります。なぜなら、チームは失敗から学び、失敗の発生を減らすためにシステムを改善することができるからです。インシデントを個人的な失敗ではなく、具体的な改善をもたらす学習の機会として位置づけることで、モラルも向上し、従業員の定着率と生産性が高まります。 **ポストモーテムの結果を共有することには2つの主な利点があります:** 1. 組織全体のシステム知識を増やします。 diff --git a/docs/index.md b/docs/index.md index 510498b..30edaf6 100644 --- a/docs/index.md +++ b/docs/index.md @@ -1,8 +1,8 @@ ![PagerDuty](assets/img/headers/Postmortems-Title.png) -インシデント発生後にポストモーテムを実施すると、何がうまくいったのか、どこを改善できるのか、そして最も重要なこととして、同じ誤りを繰り返さないための方法を学ぶことができます。適切に設計されたポストモーテムによって、チームはインフラストラクチャとインシデント対応プロセスを段階的に改善できます。 +インシデント発生後にポストモーテムを実施すると、何がうまくいったのか、どこを改善できるのか、そして最も重要なこととして、同じ誤りを繰り返さないための方法を学べます。適切に設計されたポストモーテムを行えば、チームはインフラストラクチャとインシデント対応プロセスを段階的に改善できるでしょう。 -ポストモーテムの概念はテクノロジー業界ではよく知られていますが、効果的なポストモーテムに必要な文化的ニュアンスを個人、チーム、組織が新たに取り入れるのは難しいこともよくあります。このガイドでは、継続的な学習の文化を構築する方法、分析に含めるべき最も重要な要素、そして効果的なポストモーテムミーティングを実施する方法について説明します。 +ポストモーテムの概念はテクノロジー業界ではよく知られていますが、効果的なポストモーテムに求められる文化的ニュアンスを、個人やチーム、組織が新たに取り入れるのは難しいこともよくあります。このガイドでは、継続的な学習の文化を構築する方法、分析に含めるべき最も重要な要素、そして効果的なポストモーテムミーティングを実施する方法について説明します。 ## 対象者 このリソースは、チームに影響を与えるインシデントから段階的に学びたいオンコール担当者や、組織内に学習の文化を育みたいマネージャーを対象としています。 @@ -11,8 +11,8 @@ ### ポストモーテムとは [ポストモーテム](what_is.md)を誰が、何を、いつ、なぜ行うのか。 -### ブレームレスな文化 -成功するポストモーテムプロセスは、誠実さ、学習、そして説明責任の文化に基づいています。カルチャーの変革には経営陣の賛同が必要ですが、あなたの役割によらず推進していくことは可能です。このセクションでは、ポストモーテムを通じて継続的な学習の文化を構築する際の一般的な課題と、それらを克服するための戦略について説明します。 +### 非難のない(ブレームレスな)文化 +成功するポストモーテムプロセスは、誠実さ、学習、そして説明責任の文化に基づいています。カルチャーの変革には経営陣の賛同が必要ですが、あなたの役割によらず推進していくことは可能です。このセクションでは、ポストモーテムを通じて継続的な学習の文化を構築するにあたっての一般的な課題と、それらを克服するための戦略について説明します。 - [非難のない(ブレームレスな)ポストモーテム](culture/blameless.md) - [ポストモーテムの導入方法](culture/introduce.md) @@ -37,6 +37,6 @@ - [参考文献](resources/reading.md) ### ライセンス -このドキュメントはApache License 2.0の下で提供されています。簡単に言えば、このドキュメントを使用および修正し、商業的にも個人的にも使用することができます。ただし、元の著作権表示と元のLICENSEファイルを含める必要があります。 +このドキュメントはApache License 2.0の下で提供されています。平たく言えば、このドキュメントを使用および修正し、商業的にも個人的にも使用することができます。ただし、元の著作権表示と元のLICENSEファイルを含める必要があります。 PagerDutyのお客様であるかどうかに関わらず、このドキュメントを自社内でご活用いただきたいと考えています。このドキュメントのソースコードはすべて当社のGitHubアカウントで閲覧でき、リポジトリをフォークして独自の内部ドキュメントのベースとして使用することができます。